阿蘇へ移住 そして阿蘇での暮らしを綴る

第六回

修学旅行

田んぼは稲穂が色づき、草原はススキが顔を出す9月。吹く風は秋独特の匂いと時の流れを運んでくれ、忙しかった夏の疲れを癒してくれる。とはいえ、“Tomaっとべりーな街” 今年は実験的に9月末まで期間延長、まず何事もチャレンジ!内牧の熱気も、まださめやらない。

さて、9月の田んぼを見ると、農家さんが収穫に大忙しの光景は阿蘇の秋の風物詩。そんな阿蘇の大地を見て「わー広い!」「これがお米になるの?」「ねぇ、あれは何?」阿蘇訪問者の質問攻めに応対するのも9月の風物詩。

その訪問者は修学旅行で全国から阿蘇を訪れた小中学生、普通の修学旅行のような単なる「観光地」を訪ねる旅ではなく、「実際に阿蘇に生きている人」を訪ね、取り組みを通じ阿蘇に一所懸命生きている人たちがたくさんいて、またその人たちがいることで阿蘇があるということを伝える「谷人ツーリズム」と言う取り組み。主催は南阿蘇村に事務所のある、阿蘇たにびと博物館。ご縁があり、3年前より梶原館長より依頼を受け、内牧で受け入れ態勢を取り、この取り組みのお手伝いをしている。

私は窓口として、趣旨を説明して受け入れ先を探したり、自分もその受け入れ側となる。受け入れ側は、内牧のお菓子屋、家具屋、食事処などの商店、時にお宿、農家さんも受け入れ側になって頂く。今年は2校が訪れ、12班に分かれる。

阿蘇体験当日、受け入れ側の笑顔の出迎えの横には、子供たちの期待に胸を膨らませた表情、知らない人の所へ行く不安な顔が入り混じる。そこからグループに分かれ、各受け入れ先へと出向き2時間半の間、阿蘇体験となる。体験と言っても、何かを作る事が目的ではなく、受け入れ人との会話、質問から阿蘇がどんな所かを身近に知る事となる。受け入れ人、それぞれに阿蘇への思いがあり、それぞれの阿蘇を伝えている。私の場合、内牧周辺を散策しながら、田んぼや阿蘇の自然を実際に眺め、阿蘇の魅力を伝えると同時に、自分も忘れかけていた阿蘇の魅力を思い出す。この取り組み、受け入れ側にも阿蘇を考えるきっかけを与えてくれるようだ。

そんな体験の中、ふと私の中学生の修学旅行を思いだす。行き先は阿蘇。しかし思い出そうにも、阿蘇の何処へ行ったかまるで覚えていない。しかし、この取り組みを体験した子供達にはきっと、阿蘇の何処へ行ったではなく、阿蘇には誰がいて、その人とこんな話をした、一緒にあんな事をした、きっといつまでも記憶に残るのだろう。それは受け入れを終え別れ際、何気ない笑顔と言葉で感じる。阿蘇は大きな自然も魅力、だけど人間も大きな魅力。梶原館長の言葉が私の心に響く。さて、今年もそんな訪問者が訪れる頃、今年はどんな笑顔と会えるかな?

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